アユとカニ狙いに   111008



稲刈りが続いている。 今日は、トウス(乾燥した米から籾を取り除く作業)が午後8時に終了した。

この時季になるとアユとカニが気になる。 



数十年前,自分が小学生の頃,土曜日の夜,祖父に連れられてよく川に出かけた。

祖父は芦田川漁協の正組合員だった。 年中,投網を持って川で漁をしていた。

思い出に残っているのは,9月・10月には腹が卵でパンパンに膨れた大きなアユが獲れていたことだ。

祖父は獲れた魚を入れるため,腰に魚籠(ビク)を着けていたが,それでは間に合わないくらいのアユが獲れていた。

当時,ホボロという竹で編んだカゴの入れ物も持って行っていた。 

そのホボロにもアユが入りきらなかったことを憶えている。 

直径30cmほどのホボロに入ったアユは尾びれが折れ曲がるほど大きかった。 そのアユの塩焼きにかぶりついた。 

卵が詰まっている落ちアユは,ほくほくしてうまかった。 焼き芋にかぶりつく感覚と似ていた。 

祖父は,酒が好きでアユを食べながら一升瓶からコップに注いだ焼酎をストレートで呑んでいた。 

また,祖父は雨が降って川が増水すると直径1m以上はある大きな網を持って川に行き漁をしていた。

川岸から大きな網で流水の中を掬ってアユやハヤをたくさん獲っていた。

カニも川岸にやぐらを組んで獲っていたらしい。 モクズガニがよく獲れていた。

今,当時のことを思えば,川魚については,ずいぶん贅沢をしていたものだ。 アユもカニも普通にいるものだと思っていた。

今は,鮮魚店でも卵で腹が大きくなったアユを見ることはない。



今,芦田川にアユはほとんどいなくなった。 カニも少なくなった。 ハヤはまだ獲れる。 

アユは,ほとんどいなくなったが,少し残ったアユも釣り具店の主人によると「9月下旬にほとんど下っている」と。

アユはまったく期待できないのか。 

トウス(乾燥した米から籾を取り除く作業)が午後8時に終了してから網とカゴを準備する。

ボーズ覚悟で落ちアユ用の縦網(霞網)と餌を入れたカニ籠を持って川に出かける。



        



10mほどの縦網2張りと餌を入れたカニ籠2つを持って川に出かける。

祖父から芦田川漁協正組合員の権利を引き継いではいるが,漁の知識はほとんど無い。

まず,縦網2張りを仕掛ける。 よいポイントは分からない。 このあたりかな?と思うところに仕掛ける。

仕掛けた場所を天国の祖父が見ていたら何と言うだろうか。

 「そんなところで獲れるわけないじゃろうが」と怒られそうだが,まったく分からない。

いろんな所に仕掛けて試してみる以外にない。 次に,カニ籠2つを流れの中に仕掛ける。 



        
            
ここに2張りの縦網を仕掛ける                                   この辺りにカニ籠を2つ仕掛ける



現在,午後8:30。  午後10時頃に縦網とカニ籠を上げてみよう。

午後10時を過ぎて獲物がかかることはまずない。 家に帰り,ちょっと一杯。



午後10時になる。 網と籠を上げに行く。 秋の夜は涼しいというか肌寒さを感じる。

まず,縦網から上げてみよう。 

網を引いても手応えはない。 ゆっくり上げていく,1m・2m・3m・・,なにもかかっていない。

ところが,一つめの網の端の方に何か光るものが・・・。 

大きさは,30cm程度の魚に見える。 おっ,落ちアユ?  暗闇の中ではアユに見える。  胸が高鳴る・・・。

懐中電灯! 懐中電灯! ライト, ライト  一人で焦る。 

灯りをつけてみると・・・・,な〜んだ。 ニゴイと称される魚だ。 ガックリだ。



             



もうひとつの網にも落ちアユはいない。 やはり9月末までに下っていたのだろうか。

それとも網を仕掛けるポイントがよくなかったのだろうか。



             



縦網には少々の獲物がかかっていただけで,落ちアユはいない。

ニゴイ,ブルーギル,ムギツク(この地方での名称),ウジョウ(この地方での名称)等がかかっている。

これらはすべてリリースする。



次にカニ籠を上げてみる。 ロープを引いても手応えはない。



                    



やはり何も入っていない。

今日の漁では獲物はなかった。 しかしカニ籠は,今後何度か仕掛けてみることにしよう。

近くの川では,まだカニが獲れていると聞こえている。

落ちアユ用の縦網は獲れる気配がしないので今シーズンは終わりにしよう。


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