棕櫚庵で昭和の歌          ギターコンサート    121209



1ヶ月ほど前、棕櫚庵のマスターから『昭和の歌ギターコンサート』の案内を頂いていた。 

自分も学生時代、ジャンルは違うがギターを触っていただけに今回のコンサートには惹かれるものがある。 

12時からのコンサートを聞きに行くことにしている。 



今日、午前中は町内の河川敷除草作業がある。 8時から「とんど」制作と設営のための除草作業である。

作業は順調に進む。 しかも刈り取った雑草は川岸へ集めておくだけで、昨年のように焼却まではしない。

焼却がない分早く終わる。 刈り取りと片付けは9時30分過ぎに終了する。

12時までに棕櫚庵に行くためには、11時までには出発しなければならない。 充分間に合いそうだ。

しかし、心配なことがひとつ。 先ほどの除草作業中から雪が舞っている。 

棕櫚庵は、府中市上下町階見矢多田川沿いにある。 雪の多い地域だ。 自宅辺りで雪が舞っていれば棕櫚庵辺りは積雪がある。

マイカーは、3シーズン使用した冬用タイヤを昨年の冬からは1年間着用しっぱなしである。 

もう冬用タイヤのはたらきをしないのではないか。 ゆっくりと走ってみよう。



11時、出発する。 R486を府中方面に向かう。 明郷中学校の手前を上下方面へ右折する。

上下町に入ると、景色が白くなっている。 路面も白くなりかけている。 自然と運転も慎重になる。






                






矢多田川沿いの道に入ると轍も白くなってくる。 これは、対向車が来るとどうしようもないぞ。 避けるところもなさそうだ。






                






肩に力を入れ緊張して運転をしている。 ふと自分はどこに行っているのだろう? と思う。 スキー場に向かってるのではないよなあ。

本当にコンサートに行っているのだろうか、という不思議な気持ちになる。 対向車が来ないように祈りながら緊張した運転が続く。

曲がりくねった川沿いの道を走っていると、やや開けた雪景色が見える。 左を観ると棕櫚庵だ。 雪化粧をした棕櫚庵の俳句堂だ。

ふ〜っ、やっと着いた。 雪を被った棕櫚庵の看板の近くに車を停める。






                
             
棕櫚庵俳句堂                                             棕櫚庵入り口





棕櫚庵の庭に入る。 開店以来、雪化粧した庭は初めてだ。 なかなかいい。 運転に気を遣わなければこの雪景色を観に来るのもいいものだ。






                






棕櫚庵の庭から正面の山を観ると、降り積もった雪が強風に煽られて吹雪いている。 まさに『冬』だ。

棕櫚庵の売りは、マスターによると、四季の自然。 春・秋の花見、夏のホタル見・・・などかなと思うが、意外に真冬の雪景色もいい。

この貴重な雪景色と、なんらかの雪体験も売りにされてもいいのではないだろうか。

なかなか、街の人たちには体験できない寒さと雪の感触、雪景色。 






                     
                          
棕櫚庵の正面には吹雪く山





庭を眺め正面の山の雪景色を堪能した後、棕櫚庵の玄関を開ける。 暖かい。 一気に全身の緊張が解ける。






                     






古民家の雰囲気を倍増する土壁に囲まれた高い天井、暖色系の照明、気持ちから暖かくなる薪ストーブが迎えてくれる。

もちろんマスターも迎えてくださる。





                






今日は「昭和の歌」というコンセプトでのギターコンサートだ。 昭和の雰囲気を醸し出すポスターや雑誌・昭和グッズがたくさんある。






              






今日は、12時から食事、1時からコンサートになっている。 しばらく古民家と昭和の雰囲気を味わった後、食事会場へ移動する。

今日のあいにくの雪で、遠方からのお客様何人かはキャンセルされたそうだ。 20名近くのみなさんが来場されている。

食事が始まる。 ゆっくりと飲み物を飲みたいが車で来ている。 残念。 今日は料理をしっかり味わうことにする。





                     
                            
今日のお品書き





                 






ここの料理は、地元で取れる採れる山菜や野菜を使った「田舎懐石」を売りにしている。

ここに来る途中で「じねんじょ祭り」が開催されていたが、今日の御飯は、むかご御飯だ。 むかごとは、じねんじょのツルにできる実である。

むかご御飯、米はモチ米で素朴な味わいだ。 すべての食材が昔懐かしいものばかりで、お品書きで食材を確認しながらの食事となる。

珍しい食材の味をしっかりと舌と頭にすり込んでおこう。 食事の後は、抹茶とクリスマスバージョンの和菓子をいただく。



そろそろ1時かな。 隣のコンサート会場では、準備ができているようだ。 会場へ移動する。






                      






今日の演奏は、「県北フォークソング倶楽部」。 三次市在住の畑中さん・川近さん、庄原市在住の久保さんの3人で、70年代のフォークソング

を中心とした、ギター3本でのアンサンブル・コーラス演奏グループ。 現在、県内各地で精力的にライブ活動を行っている。



午後1時、コンサートが始まる。 今日の司会者が登場する。 あれ!? 棕櫚庵のマスターではないか?

マスターが、和風のサムイから司会者用の真っ赤なタキシードに着替えて登場している。 大きな蝶ネクタイが笑いを誘う。

「よっ、マギー審司!」 「 きみまろ!」と声が掛かる。 この格好で、お客を引きつける話題や落ちをたくさん準備している。

そういえば、マスターは落語を勉強中だとか。 

純粋に落語を上演することもあるそうだが、このように司会をするにも落語ネタを盛り込んで客を引きつけることもできるんだ。 なるほど。



1曲目 : 僕の胸でおやすみ

   1曲目が終わると、昭和の時代の振り返りが始まる。

   マスター(司会者)が、昭和の世相をたどりながらその時代のヒット曲を作詞者・作曲者と共に紹介し歌に繋げていく。






                





   昭和といっても、長い。 戦時中から、たどり始める。 回天特別攻撃隊の遺書から始まる。 涙腺が緩む。

2曲目 : 同期の桜    そうか、確かに昭和ではあるけど、今日のお客さんの世代とはかけ離れているんかな? と思いながら聞く。

3曲目 : 青い山脈    この曲もよく知っているが今日の客層の年代には・・・と思いながら・・・「そうか、今日のコンサートは、来客の

                 年代に関係なく昭和を振り返り、それを次世代へ活かしていこうというマスターの強い意志を感じることができる。」

4曲目 : 上を向いて歩こう
5曲目 : 心の窓に灯火を
6曲目 : 古城
7曲目 : 遠い世界に
8曲目 : 落陽
9曲目 : 雪の降る日に
10曲目: 白い冬
11曲目: 22歳のわかれ
12曲目: いちご白書をもう一度 

13曲目: 川の流れのように
14曲目: 翼がほしい

午後2時20分、以上で今日のコンサートは終了。

県北フォークソング倶楽部のみなさんも、今日のコンサートの趣旨を理解され普段歌っていない曲にも挑戦されたり伴奏の工夫をされたりと

苦悩のあとも感じることができました。 お疲れ様でした。 

昭和50年前後の歌からは、なつかしく当時を思い出しながら聴かせてもらうことができました。 ありがとうございました。



コンサート後、県北フォークソング倶楽部のみなさんとお茶をご一緒させていただきました。

その中で、「最近の若い歌手が歌っている歌は、みな同じに聞こえてよく分からん。 顔も同じに見える。 あんな歌が後世に残る

のだろうか。」と言われているのを聞いて、『普段、歌に関わっている人でもそう感じているのか。自分もそう感じても不思議ではない』と、

変なところで安心してしまった。

また、伴奏のコードについても「今は、複雑すぎる。自分の特徴を出すためと言って変なコードを使いすぎる」という意見にも賛同する。

今は、やたらとコードに変な音を混ぜすぎる。 昔は7の音を入れる程度だった。

また地域についても、「県北は生活するのに便利は悪くなった。 しかし、本当に困るのは買い物や医者が遠いよりも、みんなと集えないことだ」

と言う。 なるほど、確かにそうかもしれない。



今日は、同世代の人の音楽を通して、いろいろ考えることができた。 音に関して、おじちゃん世代の考え方に自信を持つこともできた。

また、おじちゃん世代の味方もいるんだと安心した。 

地域に関して、自分のところも似たようなことを感じている。 



棕櫚庵のマスター、今日は楽しいコンサートをありがとうございました。 またのお誘い、よろしくお願いします。


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