風の中で        150110




昨年12月27日に、2014年最後の出港をした。 結果的に、この日は「激シブの釣り」になった。

カサゴと小鯛、小イワシが釣れ、辛うじてボウズを免れた。

魚探では、タチウオや真鯛の魚影を確認できたが、まったくそれらしいアタリがなかった。 

置き竿にしていた竿を上げてみると、間違えてカサゴが釣れただけの釣りだった。

マリーナへ上陸後、「正月明けに、リベンジの初釣りに行こう」と申し合わせをして散会した。



リベンジの初釣りとなると、ボウズは許されない。 そのためには、初釣りのための情報収集をしなければならない。

年末から新年にかけて、釣り具店・釣友・釣り雑誌などから情報提供して頂いた。 

タチウオは、だんだん西の方へ移動しているようだ。 現在、蒲刈や倉橋の方で釣れているらしい。

例年なら1月になっても、福山・尾道沖で、まだ釣れるのだが・・・。

しかし、因島沖・弓削島沖・北木島沖・百島と横島の間では、いい話がないようだ。

フグは、どうだろうか。 まだ活性が見られないようだ。 船団ができていたという話はないようだ。 大漁の話も聞こえてこない。

しかし、時季的にそろそろ狙ってみてもよいのではないか。

確信の持てる情報はない中、ある遊漁船のHPで、惹かれる釣果画像を見つけた。

年末の釣りで、トロ箱にキスが溢れている画像を目にした。 「へーえ、この真冬にキス?」

現在の海水温は10℃ないはずだ。 8〜9℃だろう。 「この環境で、キスの活性があるのだろうか?」

「いくら越冬キスが溜まっているポイントがあるとはいえ、こんなに良型が百匹以上も釣れるものだろうか?」

さっそく近くのM釣り具店に出かけ、店長に聴いてみる。 さすが、釣り関係のプロだけに、このキスのことをよく知っていた。

「たぶん、○○島の辺りだろう」ということを教えて頂く。 

次の日、断られることを覚悟で、H遊漁船の船長さんに電話してみる。 意外なことに快く対応していただく。

「場所は、弓削島から伯方島の間。 かけ上がりの辺りを狙ってみなさい」と教えて頂く。 

釣り具店の店長さんからの情報とH遊漁船の船長さんからの情報を合わせると、初釣りのキスポイントが一つ定まってくる。

もし、そのキスがだめなら近くの佐島か弓削島の南で、タチウオ狙いをしてみよう。

タチウオは、もういないかもしれないが、例年ならまだ充分釣れる時季ではある。

さらに、その近辺の豊島でフグ狙いをしてみよう。 まだ、フグのいい情報は聴いていないが、可能性は0(ゼロ)ではない、と思いたい。



ということで、今年の初釣りは、魚種を絞らず複数の魚種を狙ってみることにする。

出港日は、1月10日(土)に決定した。 これも年が明けて、1月3日にやっと決定した。

釣友のみなさんに、「いろいろな魚を狙ってみましょう。タチウオ、キス、フグ、アジ、青物など釣れるものを。よろしくお願いします。」と連絡する。

しかし、今回は、みなさん所用があり参加者は少ない。



1月10日(土)、朝8時、隣のおじさんを乗せて出発する。

今日は天気は良い。 しかし、海上の波がいくらかあるかもしれない。 天気予報では、海上の波は1mくらいあるようだ。

今日の予定について、話をする。

@ キス狙いで津波島周り  A タチウオ狙いで弓削島沖  B フグ狙いで豊島周り  というコースでどうだろうか。

午後に、風はいっそう強まるだろうから、午前中に西方面の津波島まで行っておいた方が良さそうだ。



8:30、マリーナへ9時出港の連絡を入れる。 いつものように、燃料補給と船底のビルジ点検をお願いする。

今日は、同じ時間帯で出港するボートがあるらしく、マイボートは9時を過ぎるらしい。 もちろんそれでもOKですよ。

また、いつものように、柳津町の釣具店「タイム」に入る。 何年ぶりだろうか、フグの仕掛けと餌を購入しよう。 

店員さんのアドバイスでワイヤーが付いているものでなく、長めの針になっているものにする。 餌は大きめのエビを購入する。

キス用に砂虫を千円、クーラーに入れる氷ブロックを一つ購入する。






                          
                                          柳津町の釣具店「タイム」





次に、コンビニで弁当・飲み物・おやつを購入する。 寒いので、温かい飲み物も購入する。






                          
                                  藤江町のセブンイレブン





これで準備はできた。 魚の仕掛け・餌、我々の弁当・飲み物、すべて準備OK。 

「さあ、マリーナへ急ごう」と車を走らせたところで、ふと思い出す。 そういえば昨日から、体調が良くない。 

喉に違和感がある、鼻がすっきりしない、軽い頭痛がある。 風邪の症状ではなかろうか。 


マリーナへ着くまでに市販の風邪薬を購入して出港までに服用しておこうと思っていたのだ。

もうすぐマリーナだ。 マリーナを少し通り過ぎたところにコンビニがある。 最近、コンビニにも風邪薬くらいならあると聞いたことがある。

入ってみると、風邪薬はない。 ただ、医薬部外品の栄養ドリンクはある。 

説明文を読んでみると「風邪の諸症状の緩和や栄養補給に・・」とある。 カコナール、ルルゴールド、・・・等々。

カコナールをひとつ購入し、すぐ飲んでおく。 本当は、こんな症状がある時に出港するのは良くないとは分かっているのだが・・・。

おとなしく、暖かくして休養しておくのが一番でしょう。 でも、良型キス、タチウオ、フグの大漁を想像するとやめるわけにはいきません。

9時過ぎ、マリーナへ到着。 むむむさんは、すでに桟橋入り口で待っている。

今日の出港スタッフは、むむむさん・となりのおじさん、船長の3名になる。






                
           
マイボートの前に出港予定のヨット                            マリーナ辺りの海に、まだ波はない





マイボートも下架されて海上に下りてくる。 これから、燃料補給・オイル点検・ビルジ点検をしていただく。

それから、エンジンを始動し暖機運転になる。 それまでの間、しばらく釣り談義が続く。 

今日のコースは、先ずキス狙いで津波島周りへ。 次に弓削島辺りでタチウオを狙ってみようか、フグポイントへも行ってみたいという話になる。






                          
                                
マイボートが海上へ下りてくる





オイル点検と給油が終了する。 さっそく、燃料の給油ポンプを3回ほど握り燃料を送り込む。

エンジン始動をする。 チョークを開いてアクセルを上げる。 セルモーターを回転させる。 どうかな?

よく冷え込んでいるこの時季には、3〜4回セルモーターを回して、やっとエンジンが始動する。

エンジンも冷えているが、お構いなしに高回転(3000rpm以上)にして、エンジンを暖めることを優先する。

マイボートより先に出港するはずのヨットが今出港している。 けっこう準備に手間取ったようだ。 マイボートとあまり時間差はなさそうだ。






                          
                               
    出港していくヨット





エンジンが暖まると回転が徐々に落ち着いてくる。 4〜5分経つと、もうストップすることはない。

マリーナスタッフに見送りをしていただく。 

9:25、右に陸上保管艇、左に海上保管艇を見ながら出港する。






                
            
海上保管艇とカッター訓練用ボート                                  陸上保管艇





向島の高見山がよく見える。 今日も海上の見通しは良さそうだ。 正面には、百島が見える。






                          
                  
 百島                                           向島の高見山





百島を見て思い出した。 前回は、百島でタチウオを狙ってみようとしたが、魚探にタチウオの反応は全くなかった。

また、タチウオ狙いらしきボートも全くいなかった。 今日はどうだろうか? 

もし、何艇か見えれば、タチウオ狙いを少しやってみてもいいのだが・・。 百島の東側を通過し百島の南側へ回り込む。

9:30、横島側にもタチウオ狙いらしきボートは、全くいない。 ここのポイントは、今シーズンすでに終わっているようだ。



百島を見て、もうひとつ思い出したこと。 釣りとは関係ないが、この島の「百島診療所」のこと。

この診療所は、2011年4月に開設された。医師不在のこの島にやってきた次田展之医師はマイボートで離島の訪問診療をしている。

今後、飛行機を導入し瀬戸内海全域の訪問診療に活用したいと計画している。

このことが、『BOAT CLUB』2月号のP42〜に載っている。  この雑誌に興味のある方は→こちら

                                       百島診療所に興味のある方は→ 百島診療所日記



さて、予定通り、津波島目指して移動を始める。

横島北側を南西に走り、横島と当木島の間を南下する。 この海域は、波高が1mだと実感する。 ややスピードを控えめに航行する。

弓削島と百貫島の間を抜けると、南西に針路をとる。 不思議とこの辺りの波は1mもない。

右に、弓削島を見ながら進む。 この辺りもどういうわけか波があまりない。 走りやすい。






   






弓削島の「長磯ノ鼻」辺りまで進むと、佐島の南の海上に4〜5艇の釣り船が見えてくる。 鯛ラバで鯛狙い? それともタチウオ狙い?

地元の釣り船だろう。 このような船団ができているということは、何か釣れるに違いない。

しかし、予定通り津波島に行ってみよう。 津波島からの帰りに、まだ佐島南に船団があれば、そこへ参加して試してみよう。

しばらく走り、佐島の南を抜けると、北方向へ針路をとる。 赤穂根島方向へ進むと津波島の小島が正面に見えてくる。






                   






10:15、津波島到着。

津波島の東にある小島の東側に釣り船が流し釣りをしている。 下地図の小島東の○〜○後あたりまでを流し釣りをしている。

10:20、マイボートはキス狙いで、小島の西@あたりから流し釣りをしてみる。 

@後あたりまで流れると、また@へ帰り繰り返し流してみる。 小さなアタリらしきものはあるが、釣れない。

10:30、○〜○後までを流していたボートが移動する。 今度は、下地図の◎辺り〜◎後辺りを流している。






           






マイボートにもキスらしいアタリがないので、先ほどのボートが移動した後を追っかけて移動する。

A〜A後、南側のB〜B後辺りを流してみる。 このB〜B後辺りは、岩場になっていて海底には藻があり根掛かりもする。

どのポイントも釣れない。 キスらしいアタリはない。

10:45、キャンプ場東のB〜B後を流してみる。 砂浜の近く、水深25mから流していると水深35mで20cm弱のグチが釣れる。

このポイントを3回流して、同じ大きさのグチが3匹釣れる。 

今日、このポイントに来たボートは、マイボート以外に3艇いた。 地元の艇だったのだろう。

今日は、グチだけが3匹という釣果だったが、潮の関係でキスも上がるのだろう。 






                
               
津波島で釣りをするボート                              今日は、あまり釣れてない?





冬場のキスポイントとして地元の人たち御用達のポイントらしい。 また、試してみたい冬キスポイントだ。

11:40、移動する。 ここへ来る途中に見かけた、佐島南にボートが4〜5艇集まっていたポイントに行ってみよう。



11:50、佐島南沖ポイントへ到着する。 先ほどよりも船団の艇が増えている。 大小7〜8艇のボートが集まっている。

よく見ると、グチが上がっているのが見える。 鯛も上がっている。 周りの船の仕掛けは色々。

鯛サビキあり、タチウオのジグあり、タチウオテンヤあり、鯛ラバありと、みんな自分の釣り方で挑戦している。

ここでは、魚探にタチウオの反応もしっかりある。 魚であろう赤い塊も確認できる。

魚探に反応があることもあるが、周りの船で上がっている場面を見かけることもやる気にさせてくれる。

しかし、マイボートでは、釣果が上がらない。 何度も「元の位置へ帰っては流す」を繰り返す。

水深35m〜55mアタリを流してみる。 他の船と同じように繰り返す。 しかし、釣れない。

不思議なほど釣れない。

13:30、ついにこのポイントを諦める。 今日は、潮が悪いのだと諦める。 移動しよう。 



次は、フグポイントを攻めてみよう。 豊島のどこなのか、ポイントがはっきりしない。 

携帯をとり出し、フグに詳しい知人に聞く。





   






佐島南沖から豊島は、すぐそこのように見える。 

13:50、豊島に近づくと、先ほど携帯で確認した豊島のフグポイントにアンカーを掛ける。

豊島にずいぶん近づいているように見えるが、水深は20mある。






                
           
  ポイントから百貫島方向を見る                        ポイントから豊島コミュニティーセンター方向を見る





           






上地図の○印のポイントに船を掛けて、フグ仕掛けとキス仕掛けを下ろす。 仕掛けを投入してすぐにアタリがある。

上がってきたのは、小鯛。 しばらくするとまたアタリがある。今度は、キス。 その後、ポツポツとキスが釣れ続く。

しかし、これも不思議なことに、3本の竿の中で、むむむさんの竿に限定してキスが釣れる。






                          






フグポイントに掛けたつもりなのに、釣れるのはキスばかり。 しかも1本の竿に集中している。 不思議だ。

午後になって、風が強くなり波も高くなってきた。 波高も1mを超えているかもしれない。 

掛かり釣りをしているマイボートも揺れが激しくなった。

15:30、海況が怪しくなってきたのと、アタリが遠のいたので、本日の釣りは終了とする。

このポイントはフグポイントだと思っていたが、キスポイントでもあるようだ。 また、本来のフグを釣りに来てみたい。



さて、この高波と強風は要注意だ。 ここ豊島から普通にマリーナ目指して北進すると怖い。

現在、西の風が強く波も1mを充分超えている。 海面全体が白波が立っている状態だ。 

横風と波をまともに受けると、ボートは弱い。 いくら沈まないボートだといっても裏返しになるとずぶ濡れになる。

沈む沈まないの問題ではない。 そこで、ちょっと遠回りをすることにする。

ここ豊島から弓削島の長磯ノ鼻を目指して進む。 風に向かって進もう。 

そして、弓削島に近づいて風の弱い島沿いに進み、さらに因島の東側を風を避けて進んでみよう。

実際、航海してみると、弓削島までは、ボートが何度も高波を被ったが、因島東辺りまで来ると、風はぐっと弱まっている。 

因島辺りからは、普通に航海できる。



16:10、境ガ浜マリーナ到着。






                






風の中で、クレーン下へボートを入れるのは、いつになっても嫌なものだ。 まだまだ修行が足りないようだ。

なんとか、クレーンのベルトに入れることができた。 マイボートを上架して頂く。






                          






お疲れ様でした。 強風の中、なんとか無事に帰ってくることができました。 

当マリーナの今日の出港状況を聞いてびっくりです。 今日出港したのは、マイボートとヨットの2艇だけとのこと。

多くのボートは、天気予報や天気図からの強風と高波を想定して、ほとんどの船が出港をキャンセルしたそうです。

帰港後、それを聞いて、『本当に無事に帰港できて良かったです』、 今後、事前に天気予報の確認をしっかりしたいものです。

正直言って、今日の風には、ちょっと悩まされました。



                         今日の釣果



            
                     
  キス16匹(20〜17cm)、グチ3匹(17cm)、小鯛2匹(16〜15cm)


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