手長タコ漁         150522




隣のおじさんから手長タコ漁の誘いがあった。 今一番いい時期だそうだ。 しかも、今日か明日が1年中で一番良い日だという。 

これは行くしかない。 隣のおじさんは、手長タコ漁の道具セットを揃えている。 

自分は、道具はなくても懐中電灯を持ち長靴を履いて行けばいいようだ。
 今日は、お世話になることにしよう。



18:00過ぎ、おじさんの車に乗せてもらって出発する。 目指すは、福山市内海町の田島(下、田島地図の大きな赤○辺り)。

この手長タコ漁の話は、10年ほど前から隣のおじさんに何度も聞いている。 

田島で何月の何々潮の日の何時頃という情報は知っていた。 

田島へ出かけたときには、「タコ漁」を意識して「このあたりかな?」と、海の観察をしたこともある。

一人で、自分なりの仕掛けや道具を考え準備して、手長タコ漁に出かけたこともある。 しかし、まったく結果が出たことはない。

今日のようなチャンスは滅多にない。 漁師の感覚で、潮・時間・仕掛け・道具・方法など、しっかり見せてもらおう。

車の中では、手長タコ漁についての話で盛り上がる。 

釣りと同様に出かけるときは、もうすでにたくさんの獲物があったような雰囲気になる。





             
                                     
田島地図




今日の潮は、中潮。 19:44が干潮(福山港基準)。

漁具等の準備物

@ 先端にステンレス製の二股かぎ針が付いた1mほどの引っかけ棒。 これで水中の手長タコをひっかけて捕る。

A 携帯用ガス燈。 ヘッドライトや懐中電灯の比ではない、強烈な明るさがある。 海中にいる手長タコを見逃すことはない。

B 胸までのゴム長靴。 イイダコは、膝くらいまでの水深のところにいる。 しかし、波や緊急の動きを考えると胸までの長靴がベスト。
   自分は普通の膝までの長靴。 しかし、波や動きを考えると股くらいまでの長靴の方がいい。

C 自作の手長タコ専用獲物入れ。 ハッポースチロールの箱の蓋が開かないようにガムテープで固定している。
   蓋の中央に直径15cmほどの穴が空いている。 それに細いロープを付けて腰に巻く。 
   獲れた手長タコは、穴の部分に持っていくと自分から積極的に箱の中に入っていく。
   漁の間、この専用獲物入れは漁師の腰に巻かれたロープで海上浮かんでいる。
   一度このハッポースチロールの箱に入った手長タコは、絶対に海に出ることはない、箱が反転しても出ない。 不思議だ。


D その他必要な物。 水分補給用のペットボトル、手ふき用のタオル、着替え(水深は膝くらいまでだが転倒してずぶ濡れもありそう)
   携帯電話(非常事態用、他ポイントの状況連絡用)など。




                
          隣のおじさん手作りの手長タコ引っかけ棒                                携帯用ガス燈




内海大橋を渡り、すぐ、旧フェリー乗り場の真上辺りを左折し下っていく。 海沿いの道まで下りると、また左折する。

19:00、田島の手長タコポイントへ着く。 下地図の赤○辺りの路肩へ車を停める。 まだ明るい。

今日の手長タコ漁に参加するのは、自分たちだけではないようだ。 

隣のおじさんたちの同好会のみなさんも、それぞれ漁に来られるようだ。 そして、それぞれのお好みエリアも決まっているようだ。

隣のおじさん(マイグループ)は下地図の赤@辺りの磯際で、Hさんグループは黄A辺りで、Nさんグループは緑B辺りで漁をすることになる。





        





19:15、上地図赤○へ今日の手長タコ漁に参加されるNさんグループが3名でやってくる。 

今日は、予定通り上地図の緑B辺りで漁をするとのこと。 しばらく待っても、Hさんグループは来ない。 

辺りが、薄暗くなってきた。 しかし、「もっと暗くならんと、捕れんど」とのこと。 『そうか、もう少し待った方がいいのか』

しばらく、情報交換をする。 Hさんグループは来ない。 都合でも悪くなったか、遅れて来るのか?

19:30前、Nさんグループが、上地図の緑Bへ移動して行った。





                
         
上地図赤@ポイント中央辺りから北方向を見る                 上地図赤@ポイント中央辺りから南方向を見る




19:40過ぎ、自分たちも、道具を持って、上地図赤@の中央辺りから海へ入り、旧フェリー桟橋方向へ移動しながら漁を始める。

自分で準備したLEDライトでは、海中の物を予想していたようにクリアに見ることができない。 

暗い中で波があるという環境は、とても見えにくい。 横に並んで歩いているおじさんのガス燈の威力は大きい。 よく見えている。

二人並んで、ゆっくり進んでいく。 

おじさんは、獲物を入れる発泡スチロール箱をひもで結んで腰にくくりつけ、左手にガス燈、右手に引っかけ棒を持っている。

内海大橋方向へ移動して行く。 19:50頃、おじさんがやっと見つける。 第1号の手長ダコだ。 『けっこう難しい漁だなあ』

20:00頃、旧フェリー乗り場防波堤に近づいた辺りで、またおじさんが2杯目の手長タコを引っかける。





                
                
漁の真っ最中です                                 2杯目の手長タコを引っかけて・・・




20:00過ぎてから、獲物を頻繁に見かけるようになってきた。 自分も見つけて、取り込むことができる。

旧フェリー乗り場防波堤まで来た。 また出発地点(上地図赤@ライン中央)まで帰り、上地図赤@ラインの南端まで探して歩こう。

すると、さっきまでいなかった所に、タコが来ていることも多い。

もう、潮は満ち始めている頃だ。 干潮を過ぎて満ち始めの頃が良いようだ。 

出発地点まで戻り始め、しばらくすると、「もう、イケスに入っている手長タコは、二桁いったじゃろう」という会話が出てくる。

20:10頃が今日の時合いのようだ。 出発地点まで戻ってくる。





                  
           
手長タコを引っかける                底を切って引き上げる            発泡スチロールのイケスに入れる




さらに、下地図赤@ラインの南端まで歩いてみよう。 ポツリポツリと、手長タコを追加していく。  

8:30、下地図赤@ラインの南端まで来る。 また、出発地点(下地図赤@ライン中央)まで歩いてみる。

先ほど南へ移動する時と比べると手長タコは少なくなっている。 ほとんど、いなくなった。 





        





漁に余裕が出ると、周りのことが気になる。 

上地図黄Aへ行くはずだったHさんは、どうしたのだろうか? 

自分が漁をしている時に赤@から、黄Aを見たらライトが動いているように見えた。 漁に来て早めに帰ったのだろうか。

今は、灯りらしいものは見えない。

緑Bを見ると、さっきまで灯りがチラチラしていた。 今は、もう見えない。 

しかし、緑Bで漁をしたNさんたちは、たいへんな長距離を辛抱強lく歩いたようだ。 

片道800m近くある距離を水に浸かりながら往復している。 タコもたくさん捕れているのではないだろうか。



今日、ここで漁をしたグループの中で、我々が一番遅くまでいたようだ。 

他のみなさんは、適当に捕れたら、さっさと引き上げてしまったのだろう。 

今夜、どのグループが、どのくらい捕ることができたのか気になる。

21:00、これ以上、頑張っても捕れる気配はない。 今日の漁は、終わりにしよう。



21:10、田島を出発する。

22:00、隣のおじさん宅、ガレージに着く。 そこで捕れたものを確認してみる。 

全部で18杯の手長タコを捕ることができました。 そのうち10杯を頂くことができました。 おじさん、ありがとうございました。

海の潮を持ち帰っています。 発砲スチロールの箱に、潮を入れておいてやると、タコは次の日も普通に生きています。



次の日早朝、手長タコ1杯を塩もみして茹でて頂きました。 残り9杯は、馴染みの小料理屋さんへ引き取ってもらいました。

小料理屋の方、「もう、昨日1杯350円の手長タコを2杯買ったばっかりなのに。 早く言ってくれちゃったら良かったのに」とのことでした。



参考:5月22日、当日の潮汐 中潮 満潮13:05 311cm 干潮19:29 48cm 



                            今日捕れたもの




       
                        
手長タコ18杯(頭から足先まで60cm程)、フグ・ナマコ各1匹


                                   topicspageへ