150621
4月に、元同僚と食事をした。 先輩方お二人から食事の誘いを頂いて、駅家の「花」というところでのんびりと食事をすることができた。
その時、「次回もぜひ食事会を持ちましょう」ということになり、次回は上下町の「棕櫚庵」で、ということになっていた。
「花」での食事会の後、棕櫚庵のHP掲示板に「日程は分からないけれど、もしホタル見会をされるようであれば参加したい」旨を送っておいた。
今日は、午後7時から棕櫚庵でホタル見会が予定されている。
マイカーで先輩達二人を迎えに行き、棕櫚庵へお連れすることになっている。
午後5時、TUさんを迎えに行く。 続いてTAさんを迎えに行く。 二人を乗せ上下町へ移動する。
私ごとになるが、実は4月の終わりから上下支店へ非常勤で週一日通っている。
同じく非常勤で、御調支店へ週二日通っている。 毎週上下へ通勤しているので、今日上下にある棕櫚庵へ行くのも、お手の物だ。
棕櫚庵 : 広島県府中市上下町階見1797 TEL.0847-62-2429
週一の通勤路、府中と井永を結ぶ県道24号線を、ひたすら上下方面へ走る。
府中から、上下に入る辺りで、雷を伴ったにわか雨に遭遇する。 土砂降りの雨だ。
すぐに、またお陽様が顔を出す。 僅か5分ほどの土砂降り雨だった。
井永へ入り、やや下りの直線道路に出る。 はるか先、右側に清岳簡易郵便局が見える。
その簡易郵便局の手前約300m辺りを階見方面へ右折する。 県道420号線を道なりに進んでいく。
道の左側には、矢多田川が流れている。 その川に沿って登って行くように進んでいく。
いつも、府中市街地の芦田川を見慣れている自分にとって、この矢多田川は、そそられるものがある。
この辺りの矢多田川は、川幅がほんの数mしかない。
川中には大きな岩がある。 「川」というよりは「渓流」という雰囲気を醸し出している。
こんなところには、いかにも「ヤマメ」「イワナ」など渓流魚がいそうだ。
実は、これからホタル見会が行われる「棕櫚庵」は、自分の母の実家になる。
幼少の頃、正月や盆等の一年の節目にあたる時季には、よく母親に連れられて妹と3人で訪れた。
幼少の頃には、その母の実家が、まったく自宅とは違う魅力のある別世界に見えた。
もう、40〜50年も昔のことになる。 自分の従兄姉が2人いた。 自分と同じ年齢の従兄と年上の従姉だ。
自分たち兄妹といとこ兄姉と自然の中で一緒に遊んだ。 僅か1〜2泊の中で、これでもかというくらい遊んだ。
忘れられない思い出はたくさんある。 すぐに思いつくものを1〜2挙げてみる。
上下町は府中市だが、季候が全く違う。我が家が「中国地方」だとすると上下は「東北地方」のような感覚だった。
正月に訪問すると、いつも歩けないくらいの積雪があった。
記憶にあるのは、いとこ達と4人で家の前の山に登り、そこで雪を積み上げてかまくらをつくり、その中で御菓子を食べた。
異次元の体験に時間の経つのも忘れて遊んだ。
自分たち4人の帰宅が遅くなり大人達にしかられたが、数十年後の今でも忘れられない思い出としてしっかり残っている。
また、夏は家の前を流れる清流で一日中遊んだ。 竹(笹?)でつくった釣り竿とミミズを持って、出かけた。
泳ぎ疲れると釣りをした。 ミミズを付けて流れに入れると、魚が釣れた。
我が家の辺りで釣れるものとは、違っていた。 ハヤやフナではなかった。
釣りのあとは、その場で焚き火をした。 近くの木の枝を折ってきて、それに魚を刺して焚き火で焼いた。
持ってきた醤油を付けて食べた。 何かとってもすごいことをしているようで、大人になったようで気持ちは高揚していた。
等々・・・、今でも当時のワクワク感を憶えている。 貴重な体験だった。
自分は、一年に何回かしか、そのような遊びはできないが、いとこ達はいつでもできるんだと羨ましく思っていた。
50年近く昔、一緒に遊んでいた従兄が、棕櫚庵を始めてもうすぐ満6年になる。
棕櫚庵のモットーは、『お客様に癒しと安らぎを提案し、充実の時を過ごしていただける場に』とある。
今も昔と変わらない自然の中にある棕櫚庵を見ると、「モットーに掲げてあることは、なるほど、そうだなあ」と、納得。
午後6時、棕櫚庵に到着。
ホタル見会まで、まだ1時間ある。 棕櫚庵の庭や周りの自然を探索する。
棕櫚庵の庭 庭の植木
棕櫚庵の奥様が、挨拶に出てこられる。 「今日はお世話になります」
まだ、時間がある。棕櫚庵の前にある小さな川に沿って山の奥へ進んでみる。
梅林には小梅がたわわに実っている。 山の斜面の木陰には、椎茸の原木が並んでいる。 小さな畑にはズッキーニも栽培されている。
ここでは、毎年シーズンになると、松茸が採れていたことを思い出す。
松茸は、ここ最近は採れていないそうだ。 そういえば松茸の本場、世羅町でも3〜4年前から収獲が激減しているようだ。
見て回っていると、「そろそろ中にお入りください。食事の準備ができました」と、奥様の声が掛かる。
玄関から中に入る。 奥様の手づくりの作品が、所狭しと並んでいる。 奥の部屋には奥様手づくりの衣類も、たくさんある。
しばし、見入ってしまう。
雰囲気のある玄関フロアー 手づくりの小物
食事の間へ移動する。 和室には3卓準備されている。 今日は、3グループが訪れているようだ。
自分たちが席に着く。 みなさん、席に着いて話が盛り上がっているようだ。
座卓の上には、さりげなく小さなアジサイが置かれている。 やがて、料理が運ばれてくる。
卓上には小さなアジサイが・・・
今日の料理
?○豆すり流し・・・、「すみません、名称がわかりません、お品書きを見ても読めません」
※ 後日、調べてみました。 『豌豆すり流し』は、「えんどうまめすりながし」と読みます。 勉強になりました、はい。
飲み物は、ノンアルコールビールを。 車なのでしょうがない。
グイッと、ビールじゃなくて、ノンアルコールビールを一口。 さて、なにから頂くかな?
お膳の中に、小さく折りたたんであるものが・・・、かわいいお品書きだ。
今日のお品書き
お品書きを開いてみると・・・
お品書きを見ながら、一品ずつ料理の名称を確かめながら味わってみます。
予想通りの美味しさを味わったり、意外な料理方法と意外な美味しさを味わったり、目と舌でしっかり味わう。
「へーえ、ミニトマトでこんなことができるん?」、「カボチャをこんな料理に? いろんなアイデアがあるんじゃねえ」
「ミョウガってこんな漢字だったん? ミョウガのお寿司は初めてじゃなあ」等々・・・。 料理に関する驚きの反応が次々と。
この歳になって、初めて味わう料理や味を堪能することができました。
先入観でもの(料理)を見ていた自分に気づくことができました。 いろんな料理方法や味があるんですね。
お品書きの料理の名称にも感心しました。
居酒屋さん風の「アユの塩焼き」ではなく、「若鮎の本塩焼き」と。 おいしさが、ぐ〜んとアップしますね。
すべての料理名に工夫がされてて、とても美味しそうです。 いや、美味しいです。
これらのことは、前回(2010年)のホタル見会でも感じたことですが今回も感じることができました。
3人で、美味しい料理を頂きながら、4月の食事会以降の近況報告と料理の話で盛り上がりました。
奥さんの「隣の部屋で落語をしますので移動してください」との声かけがある。
今回は、そのような演し物は、無いのだと思っていた。 事前にそのようなことは聞いていなかったから勝手にそう思っていた。
「ああ・・、演し物もあるんだ・・・・・落語?・・・ひょっとして・・・・」と、思いながら玄関フロアーへ移動する。
玄関フロアー(催し物会場)の準備は整っている。 金屏風の高座も準備されている。
『棕櫚庵落語 荒木亭 しゅろ松』となっている。
なるほど・・・、そういうことか。 以前、棕櫚庵のマスターから、落語を習っていると聞いたことがある。
「地域の行事などで披露するんだ、他にもいろいろ役に立つことがある」と聞いていた。
登場してきたのは、やはり棕櫚庵のマスター。 三味線を持って登場したマスターが前振りを始める。
三味線を持って賑やかに前振りを始めるマスター 演題「化け物使い」、落語が始まる
落語「化け物使い」が始まる。
「化け物使い」という演題だが、怖いところはなく、のどかな雰囲気のおもしろい落語のようだ。
この落語は、前半と後半の二場面に別れている。
前半は、奉公人にご隠居の老人が次々に言いつける仕事の過剰さがおもしろい。
後半には、「化け物」たちが登場するが、ご隠居は、この化け物達にも次々と仕事を言いつける。
人間の振る舞いにたじたじとなる「化け物」たちがかわいい。
実際の映像ではなく、落語的演出(話し手の言葉・演技・表情など)から、聞き手が自分なりに想像できるというおもしろさがあるのだろう。
この演し物を見て、新しいこと・やってみたいことに挑戦してみようというマスターの姿に自分も励まされた気がします。
自分も、開業に向けて今取り組んでいる海関係の新しい仕事があります。
時間はかかるが、なんとか開業に漕ぎ着けたいものだ。
さて、落語が終わると、いよいよホタル見会です。 お客のみなさんたちと、外に出ます。
今日、ここに来たときから棕櫚庵の前の道を行ったり来たりしている人達が気になりました。
そのうちの何人かの人は、散策をしている自分に「ホタルがよく見られるというポイントは、このあたりでしょうか?」と質問がありました。
車には、「広島」「倉敷」「岡山」ナンバーも見られました。
午後8:30頃、外に出てみると、矢多田川沿いに多くの人たちが集まっています。
近づきにくいような雰囲気もあります。
「カメラの絞りが・・・」、 「露出が・・・」、等の専門用語が飛び交っています。
滅多に通らない車のライトが通ると「ああ〜・・・」と、ため息が・・。
このような状況の中では、ホタルを見るために目も凝らしますが、耳も凝らします。
雑誌社、マスコミの方々も来られているようです。 やはりカメラが違います。
2010年のホタル見会の時より、迫力が増しているようです。 すごいホタルです。
雑誌関係のカメラマンさん達の中からも「今日はアタリだね」と聞こえてくる。
棕櫚庵マスターも、「今日は、今年一番のホタルじゃなあ」と。
こういう雰囲気の中では、落ち込んでしまいます。 なぜって? 今日は簡単デジカメしか持ってきていません。
この何年かに一度のホタルの絶景を記録に残せないのです。 このHPにも、もちろん載せることができないのです。
仕方ないので、ホタルのアニメを載せておきます。
棕櫚庵のマスター、今日は美味しい料理と最高のホタルを、ありがとうございました。
次の仕事に向けて、『がんばらんと・・』という気持ちも再確認することができました。
また、催し物などありましたら連絡をお願いします。
帰路について、気づきました。
棕櫚庵で見たホタルの一匹が、マイカーのフロントガラスにへばりついて名残惜しそうに見送ってくれています。
上下町を出る辺りまでフロントガラスにつかまって見送りに来てくれました。